大腸内視鏡(大腸カメラ、下部消化管内視鏡)
大腸内視鏡について
大腸内視鏡検査は、肛門から内視鏡を挿入して、大腸がん、炎症性腸疾患、ポリープなどの疾患を発見、治療するための検査です。特に大腸がんは日本人の死因でも大きな割合を占めますが、早期に発見し治療ができればほとんどの方が完治できる疾患です。しかし早期の大腸がんはほとんど症状が出ないため、症状がない段階で大腸がん検診(便潜血検査)などを受け、必要な方は大腸内視鏡を受けていただくのが重要です。
また、”いつも便に血が混じっている”、”最近になって便秘が急に悪化した”などの症状も、大腸の病気を示唆する症状であるため、内視鏡検査を検討しましょう。
以下に当てはまる方は内視鏡検査を受けましょう
- 大腸がん検診で便潜血検査が1回でも陽性となった方
- 便に血が混じっている方
- 急激な体重減少がある方
- 便通異常が続いている方(便秘、下痢、便が細いなど)
(※以下に当てはまる方も内視鏡検査を検討しましょう)
- おなかの調子が悪い方(腹痛、腹部膨満感など)
- 過去に大腸ポリープがあった方
- 血縁者が大腸がんになった方
- 50歳以上の方で大腸内視鏡検査を受けたことがない方
『軸保持短縮法』による苦痛の少ない検査
当院では、主に『軸保持短縮法』による挿入方法で大腸内視鏡を行っております。
曲がりくねった大腸の奥に内視鏡を進めるにあたっては、押し込む動作が強いと痛みが強く感じられることがあります。数十年前はそのような手法が主流だったこともあり、大腸内視鏡に対して”痛い”というイメージをお持ちの方も少なくないと感じます。
軸保持短縮法は、できるだけ腸を伸ばさずに丁寧にたたみこんで短縮していくことで真っすぐに内視鏡を進めていく、苦痛が少ない方法です。これまで大腸内視鏡検査が辛かった、うまく入らなかった、といったご経験がおありの方も、まずは一度ご相談ください。
観察精度の高い内視鏡
当院では、FUJIFILM社のLASEREO(レザリオ)🄬シリーズの内視鏡を使用しています。
比較的径が細めで身体への負担が少なく、またLCI / BLI (Linked Color Imaging / Blue Laser Imaging)といった最新の画像強調機能による観察が可能な、極めて観察精度の高い内視鏡です。
検査の流れ
- ①検査の予約
・医師が診察し、検査日を決めます。
・看護師より、検査について詳しくご説明致します。
・必要に応じて、血液検査を行います(出血しやすい状態ではないか、感染症をお持ちでないか等の評価です) - ②検査前日
・検査前日は、腸に残りにくい消化の良い食事(朝・昼・夕食)を召し上がっていただきます。
・夜20時に処方された下剤を服用いただきます。
・夜20時以降は食事をしないようにしていただきます。 - ③検査当日(検査前準備)
・当日は朝、昼とも食事不可です。
・常用している薬は、指示通り内服していただきます(ただし、糖尿病の薬は、朝の内服を控えていただきます)。
・ご自宅で腸管洗浄液(モビプレップ)を午前9時から飲み始めていただきます。1時間半~2時間ほどかけて飲んでいただき、5~10回程度の排便で『淡い黄色で、かすのない状態』になるのを目指します。水やお茶を同時にお飲みいただきます。
※稀に腸管洗浄液によりアレルギー症状が出る場合があります。途中で気分が悪くなったり、強い腹痛を自覚した場合、また嘔吐した場合などは、服薬を中止して当院までご連絡ください(電話:043-236-7711) - ④検査当日(検査時)
・予約時間の10分前までに医院にお越し下さい。
・検査着に着替え、検査用パンツをはいていただきます。
・鎮痙剤(腸の動きを抑える薬)を注射します。場合により点滴を行うこともあります。
・検査台に横になっていただき、内視鏡検査を行います。肛門から内視鏡を挿入し、大腸の一番奥まで到達してから抜きながら観察していきます。所要時間は15~20分程度ですが、人によりもう少し長くかかる場合があります。
・ポリープ治療をする場合は、もう少し長くかかる場合があります。 - ⑤検査後
・医師より画像をお見せしながら結果を説明させていただきます。観察のみであればこれで終了です。
・鎮静剤を使用した場合は、1時間ほど休んでからお帰りいただきます。また、鎮静剤使用時は同日車の運転や機械の操作をご遠慮いただいておりますので、ご注意ください。
(組織生検、ポリープ切除を行った場合)
・後から出血する可能性があるため、数日~1週間程度、飲酒、激しい運動、遠出はお控えいただきます。
・後日、病理結果の説明をさせていただきますので、2週間後をめどに再来いただきます。
安全な検査
当院では、ガイドラインに則った高性能内視鏡洗浄機を使用して内視鏡の洗浄を行っております。毎回の検査ごとに適切な洗浄・消毒を行い、お一人おひとりに清潔で安全な内視鏡検査をご提供致します。
大腸ポリープ治療について
診療所レベルで対応可能な小さなサイズのポリープにつきましては、内視鏡での治療も行っております。内視鏡での治療は、痛みもほとんどなく、短時間で行えるのがメリットです。
ただし安全のため、初回の方は原則観察のみで十分に評価を行い、治療は後日改めて行わせていただいております。また普段の内服薬の種類や、ポリープの性状(良性か悪性か、など)により、当院での治療の可否を判断し、必要によっては他の高次医療機関にご紹介をさせていただきます。
(ポリープ切除は後日出血をきたすリスクがあるため、安全面を考慮してそのような対応とさせていただいております。)
鎮静剤使用について
当院では、内視鏡の苦痛が比較的少ないこと、また鎮静剤の使用には多少の副作用のリスクが伴うことから、通常は鎮静剤使用を行っておりません。しかし、ご不安が強い方につきましては、ご希望があれば鎮静剤使用も検討いたします。鎮静剤を使用すると、頭がぼーっとしたような感じになります。全く意識がなくなる麻酔とは異なり、ある程度の意識は残りますが、苦痛を感じにくくなります。
鎮静剤の使用を希望される場合は、以下の点にご注意ください。
- 終了後、30分~1時間ほど院内で休んでからお帰りいただきます。
- 当日中は車の運転、機械の操作などはできません。(車を運転してのご来院はお避け下さい)
- 稀に少量の鎮静剤でも呼吸が弱くなり、救急措置が必要になる場合があります。その場合は、検査を中止して対応致します。